終わりの無い校内暴力の話⑤完結

 

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終わりの無い校内暴力の話① - 警察官クビになってからブログ

終わりの無い校内暴力の話④ - 警察官クビになってからブログ

 

 

私とキムラ君は保健室で並んで座っていました。

キムラ君は何かの布で顔を抑えています。

 

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いや・・・ヒドイ出血でした。

トマトケチャップ1本丸ごと床にブチまけたような・・

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 ドバドバ・・・・

 

こんな状態ですから、

もうケンカをしている場合ではありません!

 

すぐに彼を保健室へ強引に引っ張っていきました・・

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どうやら空振りしたと思っていた私の拳は、

キムラ君の顔をカスッていたようなのです。

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ここはマンガや映画の世界ではありません。

拳が顔をカスめれば・・・肉は裂け・・・・

大惨事となってしまうのです。

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保健室の先生は、

キムラくんに血止めの布?を渡すと、

どこかへ走って行ってしまいました・・・・

 

さっきまでケンカしていた二人だけが、

保健室に残されたのです。

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気まずい・・・・後ろめたい気持ちで一杯でした。

 

(キムラくんは・・・何を考えているだろうか?)

 

そこでハッと気づきました!

よく見ると自分のシャツが血まみれなのです。

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(ああ・・・・ヒドイ事をしてしまったんだな)

改めてそう感じました。

 

キムラ君を殴る前に思い描いていた、

『不良を殴る事で得られる爽快感』

なんてモノはどこにも見当たりませんでした。

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数分後・・・・・・

数名の先生が保健室に駆け込んできました。

 

キムラ君はそのまま病院へ・・・

私はそのままに帰るように言われました。

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先生たちは一言もお叱りの言葉を発しませんでした。

 

しかし・・・・

血まみれの状態で帰るワケにもいかず・・・・

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水道でシャツの血を洗いながら

『正義』について考えました・・・・

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私は頭が悪いので難しい事はわかりません。

 

でも・・・・・・

『正しい事をした!』

・・・・・なんて事は思えませんでした。

 

 胸の奥底に、

『黒くモヤモヤしたモノ』を感じたからです。

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(・・・・・・・・・)

 

洗っても洗っても、

シャツについた血は流れ落ちませんでした・・・・

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家に帰ると事情を聞いた母に、

バシッ!と殴られました。

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「人を殴るのはよくない!」

そんな事を言いながら私を殴るのです。

 

・・・わけがわかりません。

 

しかしだからこそ・・・・・私は理解しました。

『殴っても何も伝わらない』

ただ痛いだけです。

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私が持っていた手前勝手な正義感だって、

殴ったキムラ君にも、

学校の誰のにも全く伝わっていないでしょう。

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誰の何も変える事が出来ていない。

しょせん・・暴力は暴力でしか無いのです。

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その日の夜・・・・

母がキムラ君の家に謝罪の電話をかけました・・・

 

「キムラ君の家は◯◯◯の家!」

と聞いていた私は内心ビクビクしておりました。

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が・・・しかし・・・キムラ君のお母様は、

「子供どうしのケンカですから!」

と笑って返してそれで終わりだったそうです。

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後日・・・私はキムラ君に会って、

「ごめんなさい」と謝罪しました。

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キムラ君は照れくさそうに笑って、

お母様と同じように、

「いや・・ケンカだからなぁ?」

の一言を返してきて終わりでした。

 

・・・・キムラ君とは、

それから顔を合わせる度に、

何度か他愛もない世間話をしました。

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とは言え私は一方的に話を聞くばかりで、

ずっとオドオドするばかりでしたが・・

 

キムラ君は高校を卒業したら、

「親父がやってる会社に入る」

そう言っていました。

 

彼の家が◯◯◯なのかはわかりませんでしたが・・

指の無い従業員の話を何度か聞かされたので、

家が◯◯◯と言う噂は本当だったのかもしれません。

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彼はいまでも・・・・

『暴力』を生業にして暮らしているかもしれません。

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・・・・・・・・・

キムラ君を殴ってから・・・・

私の中にある暴力への欲求はスッポリと抜け落ちました。

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振るった暴力の中に、

強さ正義を感じなかったからです。

 

何かはわかりませんが・・・・

もっと違う強さ正義の形があるハズ・・・・・

 

だから私はこれまで10数年間・・・・

どんなに理不尽な事があっても、

誰にも暴力を振るう事無く生きてこれました。

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・・・・当たり前の事ですが、

そんな自分を少し誇らしく思うのです。

 

 社会に出てから・・・

沢山の正義を貫く強い人を目にしました。

 

懸命に仕事に取り組む先輩。

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私の起こしたクレームの為に、

頭を下げてくれる上司。

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・・・そんな人達を見ていると、

私の価値観も自然と変わっていきました。

 

これからも・・・・

きっとまた変わっていく事でしょう。

 

 

・・・格闘技ジムのインストラクターさんが、

『危険な技』を教えてくれた時に、

こんな妙な事を私に言ってきました。

                 

「一生だれにも使うなよ?」

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(使わない技を習う意味があるのか?)

当時の私はそう思いました。

 

しかし・・・・・

今なら少し意味がわかる気がします。

 

『使えるけど使わない』

そういう強さもあるのだと。

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おしまい