ウソだらけの職人の世界

 

数年前・・・・その日は大雨でザーザーでした。

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「店の駐車場がで溢れている」

という連絡があったので夜中に現場に向かいました。

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現場を見ると、お店の広い駐車場は完全に水没していました。

これは大変だ・・・・こんな状態ではお客さんも入りません。

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真っ暗な駐車場にシトシトと降る雨。

水面に浮かぶ波紋。淡く光る水銀灯。

 

(なんだか・・・いい景色だなぁ・・・)

とついつい見入ってしまいます。

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こういう一風変わった景色は・・・

この仕事だからこそ拝めるのです。

 

(さてさて・・・仕事をしなければ)

 

ジャポン!と駐車場に足を踏み入れます。

 

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長靴が水没する程は深くない・・・・・・

 

そのままジャポジャポと駐車場内を歩きまわり観察します。

 

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何だか楽しくなってきます・・・・・アハハ

 

私が一人で遊んでいると、大将が後からやってきます。

「おい!どうだ?」

これは・・・「状況を説明してくれ」という意味なので、

私は「わかりません」と首をひねります。

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「あああ・・・・?」

私を見て、そして現場を見て大将も首をひねります。

 

駐車場の水はドンドン増えるばかりです。

 

「まぁいいわ・・ポンプ持ってくるわ・・・」

大将は車に乗って、ポンプを取りに会社に戻りました。

 

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『水が溢れてしまう原因』はわからないけど、

とりあえずポンプで水を抜いてお客さんが入れるようにしよう。

という事なのでしょう。

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私は一人、駐車場に取り残されてしまいました。

 

ポツーン

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まぁ・・・ここで何もしないワケにはいきません。

日当もらってますし・・・・

 

(自分の車に何か装備があっただろうか?)

 

あったあった・・・・・

『スコップ』

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「スコップ1本あれば家も建てられる」

そう言えば、大将はそんな事を言っていました。

 

・・・・・・・・・・デタラメですね。(たぶん)

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現場は真っ暗です。

が・・・・とにかく水の出口を探します。

 

(ここかなぁ・・・・?)

数分後・・・・それらしき場所を見つけました。

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ここで何かわかりませんが・・・・・

『問題』が発生しているから水が逃げていかないワケです。

 

あたりは真っ暗で濁った水中なので、

ライトを当てても見えません。

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多分『何か』が水の出入りを妨げているのでしょう。 

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さてさて・・・・・

バカな私は深く考えたりはしません。

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スコップを構えて・・・・・・

勢い良く突き出しました!

 

カーン!

 

排水口の出口にあたる『柵の部分』

スコップで何度も何度も突いたり、こすったりしました。

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すると・・・・・

ゴボゴボッと水が減っていきました。

 

(おっ?)

 

水が減っていくと・・・・・・

水の流れを妨げていた『何か』の正体が分かりました。

落ち葉ゴミです。

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(なーんだ・・・)

まぁとにかく問題は解決した!

良かった良かった・・・・

 

あとは張り付いている、

ゴミと落ち葉を取り除いて回収するだけです。

 

・・・・すると大将が車でブーンと戻ってきました。

手には発電機ポンプを抱えています。

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しかし・・・すでに駐車場の水は減り始めています・・・・

「問題は解決しましたよ!」

大将に自信満々で言うと・・・・

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「おう・・・・・もともどせや」

と静かにつぶやく大将。

 

大将は、袋に回収した葉っぱやゴミを

「もう一度排水口の柵に貼り付けて詰まらせろ

そう言っているのです。

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私が困惑していると・・・・

「コレでお客さんからいくらとれるんじゃ?」

と言う大将。

 

ハッ・・・として私が言います。

「・・・5000円?」

 

大将がうなずきます。

 

小さな会社なので、基本的に小さな作業なら

一律5000円ほどで請け負う事になっていたのです。

 

大将の指示通り・・・・・・

排水をもう一度詰まらせて、

発電機を動かして、

ポンプを突っ込み水を排出・・・・・・・

 

そんな私が懸命に作業している風景を、

大将が写真におさめます。パシャリ。

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それからゆっくりゆっくり・・・・

葉っぱとゴミを取り除きます・・・

 

これで『数千円だった作業』が、

『数万円の作業』に変わったのです。

 

この仕事を始めてから・・・・

こんなウソ・・詐欺ばっかりでした。

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営業マンは口ばっかりで何も出来ねえ!

職人は良い仕事をして黙って仕事もらうんじゃ!」

 

私が営業の世界から離れてこの仕事に就いた時、

大将はそんな事を言っていました。

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話を聞いて(職人かっこいい!)そう思いました。

しかし・・・・現実はコレ・・・これが良い仕事?

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営業の仕事は商品を良く見せるために・・・・

『お大げさな表現』をする事はありましたが・・

そこにウソはありませんでした。

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しかし大将の言う職人の世界

堂々と『ウソ』の報告をします。

 

 

(これからは人に喜んでもらえる仕事をしよう!)

そんなささやかな誓いを立てて、

私はこの世界に足を踏み入れました。

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しかし・・・・どこを見ても、

『職人』という聞こえの良い言葉を隠れミノにした、

ただの無法者の集団でしかありませんでした。

 

 

(いつか)つづく

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