警察官クビになってからブログ

ダークファンタジーブログだよ

ブラック企業で後輩が『失踪』した話③

 

🔻コチラの記事の続きになります。

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結局、

私と部長は社用車に乗って

2人でサカモトのクレーム処理に向かう事になりました。

 

ブーン。

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部長は「クレーム対応に行かせてください!」と言った私に、

「お前に行かせられるわけないだろ!!」と怒った後、

「(玄関に)車をまわせ・・・」と言ってきたのです。

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なぜならその時、部長は免許停止中だったからです。

理由は知りませんが・・・・。

運転手が必要だったんですね。

 

営業車でクレーム先の会社へ向かう途中

 

部長がなぜか

「◯◯県のあたりには、

 まず1度クレームを起こしてから営業を行う会社がある。」

という話を始めました。

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(なんでそんな話を?)

 

その会社の話の内容をまとめると、こんな感じです。

1度目は、オカシイ営業マンが向かい、わざと大クレームを起こす。

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2度目は、その謝罪という形で有能な営業マンが向かい大きな契約をとる。

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そういう手法の会社がある。という話でした。

 

ギャップで2度めの営業マンが良い人に見えちゃうんですかねぇ?

 

話し終わると部長は最後に

「オレの言いたいことがわかるか?」

と言ったので、

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「ハイ!!!!」(わからない)

と、とりあえず元気よく返事をしておきました。

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まぁ部長は私が良いのは「返事だけ」という事を知っていたので・・・。

少し沈黙した後、さらにこう付け加えました。

 

「俺達は営業マンだ・・・そうだろ?」

私はウンウンとうなずきます。

 

「勘違いするなよ?

 俺達はクレーム処理に向かってるんじゃねえ!

 今から営業して契約をとりにいくんだ!」

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(!?)

 

部長は熱く語っていましたが、

(ええ・・悪い事したんだからちゃんと謝りましょうよ・・・)

なーんて・・・その時は冷めた事を思っていました。

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でも今考えると・・・・

部長の営業マンとしての気概みたいなモノを感じますね!

 

ウンウン。

 

クレーム対応へ

こうして私達2人は、お客様先にクレーム対応に入りました。

 

「この度は、大変申し訳ございませんでした!」

 

まず私達2人は大きな声で謝罪をします。

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しかし相手方の経営者ご夫妻は、

特に怒っているようには見えませんでした・・・。

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最初は・・・ですが。

 

お二人は、ご主人が社長

奥様が総務、社員は50名程度のありがちがな会社でした。

 

まずご主人が、

サカモトの言っていた内容と

契約の内容が全然食い違っている事を淡々と話し始めました。

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人の怒りとは不思議なモノで・・・・

最初は穏やかだった社長さんも、

 

サカモトの話をすればするほどに・・・・・・。

 

どんどん怒りの表情に変わっていきます。

 

十数分後・・・・・

「お前こんなのサギと同じだぞ!?」

応接室の中に社長さんの怒声が響きました。

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部長は、社長さんが話し始めてから

「申し訳ございません。」

「おっしゃる通りです。」

位しか言葉を発していません。

 

私は社長さんのあまりの剣幕に怖くなってしまい、

何も出来ず、ただ小さくなっていました。

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さすがの部長も社長さんの凄まじ剣幕に押されています。

 

しかし段々と、部長の反応が変化していきます。

「確かにこれはヒドイ・・・」

 

そんな風に、部長が社長さんの話に段々と同調し始めたのです。

「サカモトのヤツ!」

「許せませんね!」

「最低ですね!」

などなど・・・。

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部長が同調する程に、

社長さんもサカモトへの批判をヒートアップさせます。

「あいつは仕事をなめてんだよ!」

「サカモトのヤツ・・・ふざけてますね!」

そして部長もそれに同調します。

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それを何度か繰り返した後、

突然!

部長が立ち上がって、こう言いました。

 

「サカモトはクビです!クビにします!!」

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(えっ?)

 

一瞬、意味がわかりませんでした。

サカモトはクビどころか・・すでに失踪済だからです。

 

しかしモチロン失踪の事は社長ご夫婦には伝えてありません。

「サカモトはクレーム起こして失踪しました!」なんて言えませんよね?

 

「クビ」という単語を聞いて、

先程まで怒り心頭だったはずの2人が、急に戸惑った表情を見せます。

 

(あっそうか!・・・これは部長の作戦なんだ・・。)

私はワンテンポ遅れて気が付きました。

 

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部長も私も1秒か2秒、ジッと押し黙ってご夫婦の出方を待ちます。

 

(どうだ・・・・?)

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(ダメか・・・・?)

部長が追い打ちをかけようと、口を開きかけたその時!

 

なんと・・・奥様が突然泣き始めてこう言いました。

 

「そんなの・・・あんまりじゃないですか・・・?」

 

(えっ!?)

 

全員が驚いて奥様を見つめます。

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(泣いてる!?この奥様・・慈悲深すぎる・・。)

 

効果は抜群だ。

 

なぜ奥様は泣き出したのか?

 

実は前回このご夫婦の対応をした

サカモトの営業手法は

 

小さい頃、両親が離婚して~

祖父と祖母に育てられて~

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貧乏で~

グレてヤンチャした時期もありましたが~

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今は祖父と祖母に感謝していて~

仕送りしてるんです~

 

みたいな身の上話で同情を買う事を営業の武器にしていたからです。

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奥様が同情的になったのはそのせいでしょう。

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ちなみにこの営業手法を指導したのは「部長」です。

 

「営業でも対応でも、必ずこの話をしろ!」

とサカモトに指示を出していました。

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つまり、部長は「クビにします!」と言えば、

このご夫婦の怒りがある程度は収まると初めから予測していたのです。

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いや、それだけではありません。

 

恐らくですが、

アルバイトに降格させられて、

こういう雑用係にされたサカモトが、

いつか会社への報復として「クレーム爆弾」を残したときのために、

この同情を買う手法を使わせていたのではないか?

 

と私は思います。

 

サカモトが、あらかじめお客さんの同情を引いておけば

「クレーム爆弾の後処理」がしやすくなりますからね!

普通にクレームを起こしてしまった時もしかり。

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恐るべき部長の先見性。

 

奥様が同情的になると、釣られてご主人も同情的になりました。

「いや・・・・何もそこまでしなくてもいいでしょう・・・」

 

これは純に奥様の顔色を伺っただけなのかもしれません。

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部長はさらに追い打ちをかけます。

「いえ!これだけの事をして・・処罰しないワケにはいきません!」

 

社長夫妻は困惑します。

「いや・・・でも・・・・・それは・・・。」

 

そんな堂々巡りみたいな会話がしばらく続きました・・・・。

 

そして・・・気がつくと、

いつの間にか部長と経営者夫婦は談笑を始めていました。

(すごい・・・)

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部長はサカモトのクレームの批判の話しから、

いつの間にか面白おかしく、

サカモトの会社での失敗話を話し始めたのです。

 

「いやぁーあいつもチョット変わった所がありましてね~」

「そうなんですねーアハハハハッ」

 

みたいな・・・ワキアイアイ

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部長はこの展開を初めから予測していたのでしょうか?

 

そんなこんなで、サカモトのクレームは無事収まりました。

(※サカモトが誤解を招いた事による損害の分はお金で補填しました。)

 

私達が帰る頃には、

「遅くまで悪かったね!」

と社長さんが気さくに話しかけてくれるまでに、

社長さんと部長の仲は親密になっていました。

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そして部長はこの数週間後、

宣言通り、この会社から別件で新しい契約を取っていました。

 

サカモトのクレームによって補填したお金の

数十倍の利益を部長は会社にもたらしたのです。

 

ピンチはチャンス。

 

言うのは簡単ですが、

実際に結果に出すのは簡単な事ではありませんよね・・・。

 

いやぁ部長はスゴイ。

 

サチコさんの真意は?

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私はサチコさんの所へ対応に来ていました。

サチコさんは相変わらず「気さく」に世間話をしてくれます。

いつも通り、オイシイお茶とお菓子も出してくれます。

 

一通り話が終わった所で、私は不意に

「ところで・・サカモトは元気にしていますか?」

とサチコさんへキラーパスをしました。

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これはちょっと嫌味だったかもしれません。

 

しかしその言葉を聞いても、

サチコさんは笑顔のまま、表情を全く変えませんでした。

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(さすが経営者・・・ハートが強い・・・)

 

するとサチコさんは

「みんな元気よ」

と一言だけ返事をしてくれました。

 

(みんな・・・・か)

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その後しばらく

何事も無かったかのように談笑を続けた後、

私はサチコさんに挨拶をしてその場を去りました。

 

ただ帰る時、

いつもよりも深く、

ちょっとだけ長く頭を下げて帰りました。

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たぶんそれで、私の気持ちは伝わったと思います。

 

お客さんに変なことを言ってゴメンナサイ。

サカモト達の事をよろしくお願いします。

 

という気持ちがです。

 

結局、サチコさんの腹の中はわからないままでした。

 

サチコさんが、

どういう考えで、うちの従業員を勧誘していたのか?

 

ブラック企業から助けてあげよう!

という善意なのか?

 

金に困っているコイツを利用してやろう!

という悪意なのか?

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まぁ・・今考えてみると、

善意か悪意かで今回の件を判断するのは難しい話ですよね。

 

そもそも

「自分がやっている事は正しい!」

そう信じ込んでるブラック企業経営者

私は何人も見てきたのですから・・・・。

 

おしまい。

 

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食べたい。